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Khamai Leon ソロインタビュー:赤瀬楓雅ーードラムへの愛とジャズ探求、見つけた居場所「バンドはそれぞれの人生の線を重ねる作業」

10月6日
読了時間: 8分

『What is Khamai Leon?』。これは、Khamai Leonが9月23日(水・祝)に東京・渋谷WWWにて開催する2ndワンマンライブに掲げたタイトルである。「Khamai Leonとは何なのか」。この大いなる疑問を解消するために、メンバーのソロインタビューを実施した。

打楽器奏者・音楽家として数多くのアーティストと共演する傍ら、Khamai Leonでは写真を中心にアート・ディレクションも担う赤瀬楓雅。ドラムとの偶然の出会いから、音楽大学でのジャズ探求、そしてKhamai Leonを選んだ理由まで、話を訊いた。

間違いなく言えるのは、とにかくドラムが上手くなりたかった


ーー早速ですが、赤瀬さんのルーツを伺わせてください。もともと赤瀬さんは音楽科を抱える高校に理数科で入学し、軽音楽部でドラムを始めたとのことで。ドラムを選んだ理由は何だったのでしょう。


おっしゃっていただいた通り、軽音楽部に入るまで楽器をやったことがないどころか、興味すらもなかったんですよね。小中学校でもテニスをやってましたし、「スポーツ大好き!」「友達と遊ぶの大好き!」みたいなタイプだったんです。軽音楽部に入ったのもその延長というか、小中学校の友達が軽音楽部に入ったからで。


ーー言ってしまえば、友達に付いていっただけというか。


いやぁ、本当にそうなんです。なので、ドラムを選んだのも決して深い理由があるわけじゃないんです。ただ、人が足りていなかったドラムに「じゃあ俺がやるわ」くらいのノリで立候補しただけ。そういう意味では、ドラム以外の楽器をやっていた可能性も全然あるんですよね。


ーーとなると、音楽を聴き始めたのも軽音楽部に入ってからなんでしょうか。


本格的に音楽を聴くようになったのは高校からなんですけど、思い返してみると、中学校の友達と遊びの一環でダンスミュージックを流しながら踊っていたんですよね。みんなで踊りながら口パクで歌う、みたいな遊びをしてた。それは自分の中に根付いているような気もしますし、身体を動かして音楽を聴く、という部分に影響を与えてるのかなと。


ーーなるほど。入部後はどのような音楽に触れていったんです?


最初にのめり込んだバンドは、マキシマム ザ ホルモンですね。ドラム譜の読み方も分からないのにバンドスコアを買って、唸りながら練習してたんで(笑)。あとは、東京事変や凛として時雨、相対性理論とか。いわゆる邦ロックの中でも一癖あるようなバンドを聴いてきた気がしますね。なんというか……当時は歌詞に注目していなくて、バンドの演奏スキルに惹かれていたんだと思います。


ーー当時からプレイヤー的な目線で音楽を聴いていた、ということなんですかね。


うーん……どうなんでしょう。僕は性格的に、ハマったものに対してのめり込んじゃうタイプで。「やるからにはとことんやりたい」っていう気持ちが強いんですよね。率直に言うと、なんでこんなにドラムが好きになったのかは分からないんですけど、間違いなく言えるのは、とにかくドラムが上手くなりたかったんです。それこそ、「ドラム以外やりたくない」って思うくらい。


ーーある意味、成り行きでドラムを始めたにもかかわらず、そこまでの向上心を持ってドラムに臨めたのはなぜだったと思いますか。


明確なキッカケがあったわけではないんですけど、スポーツをやっていたのもあって、負けず嫌いだったのかなと。あと実は、幼稚園の頃に鼓笛隊をやっていて。自分ではすっかり忘れていたんですけど、大学時代にたまたまその写真を見つけて「あぁ、昔こんなことやってたんや」って思ったんですよね。そう考えると、潜在的にドラムにのめり込む運命だったのかなとも思うんです。


「自分の使命は別のところにある」と感じた


ーーよく分かりました。その後、赤瀬さんは昭和音楽大学への進学を決意するわけですよね。


そうですね。さっき話した通り、大前提としてドラム以外のことをやりたくなかったんです。その上で、高2の時にジャズにハマったことも進路決定へ大きな影響を与えていて。たまたまYouTubeでジャズ・フュージョンの音楽ーーHerbie Hancockの曲ーーをたまたま見つけたんですけど、それがとてつもない衝撃だったんですよ。


ーーというと?


「ドラムが上手くなりたい!」と思って、色んな演奏を聴いていた中で、明らかにレベルの違う人が登場してきた感覚というか。「このジャンルを掘っていけば、自分のレベルも上がるぞ」みたいな気がしたんですよね。ジャズという存在を見つけて、この音楽を学べばドラムが上手くなれる確信を得てしまった。音楽が好きというよりも、ひたすらにドラムが好きだったんだと思います。


ーードラムが上手くなりたいという思いからジャズの道に進んだとのことですが、そもそも赤瀬さんはバンド音楽を出発点としているわけで。進学時の音楽的な軸はどこにあったんですか。


うーん……ジャンルは特になかった気がします。「ロックをやりたい」「ジャズをやりたい」でドラムを始めたわけでもないですし、正直なところ、ジャンルもよく分かっていなかったというか。ただ、卒業のタイミングでジャズ畑に進もうとしていたのも事実で。やっぱり4年間きちんと音楽を学ぶ中で、ジャズという音楽を心から好きになったんですよね。


ーーそれは自然な流れだと思います。


そういう状況だったので、「ジャズ畑に進もう」と強く決めていたわけじゃないにしろ、「ドラマーとしてのアイデンティティはジャズにある」と確信していました。


ーーとはいえ、現在Khamai Leonとして活動していることを考えると、どこかでアイデンティティがジャズからバンドに移行した、ということになるのでしょうか。


難しいな。自分の中では「ジャズか、バンドか」という感覚は今もないというか。確かに、ドラマーとしてジャズの血が通っていることは間違いないんですけど、もっとカジュアルな目線で見た時に、ジャズだけにのめり込んだわけではない。……いや、のめり込んでいたのかもしれないけれど、ジャズの世界に心から身を置いてはいなかったのかも。あくまでもジャズは学ぶもの、みたいな感覚もどこかであった気がするんです。


ーー一歩引いた目線で見てしまう、みたいな?


ジャズにどっぷり浸かれなかったんです。これは間違いなく。というのも、ジャズを好きな人たちって心の底からジャズを愛しているんですよね。日常生活全てがジャズに紐づいている。そういう人たちを見たら、「自分はジャズを好きって言えるのかな」と諦めに近い感情を抱いてしまった。と同時に、ジャズの歴史を学んだからこそ「こういう人たちがジャズの意思を継いでいくべきなんだ」と思ったんですよね。そこで、「自分の使命は別のところにある」と感じたからこそ、バンドに繋がっていったのかもしれません。


バンドを通してみんなの人生がより良いものになったら


ーーKhamai Leonはその別の場所に該当する集団なのかな、とも思うのですが、ソロ名義での即興演奏やbejaさんとの冬派の活動にも取り組まれる中で、赤瀬さんにとってKhamai Leonはどのような存在なのでしょう。


色んな言葉が出てきちゃうので大きな言葉でまとめると、居場所だと思います。高校時代に音楽を始めて、ジャズを学んできた中で、「バンドってこうなんだ」「仲間ってこうなんだ」と初めて思えたのがKhamai Leonだった。……居場所、帰ってこれる場所、みたいな感覚です。


ーーおっしゃっていただいた「バンドってこれだ」という感覚を紐解くとしたら、どんな言葉になりますか。


それぞれの人生や生き様が混じり合って、自分じゃ想像できなかった何かを作り上げることができる集合体、なのかなと。やっぱりジャズは一期一会というか、初めて会った人たちとその場の空気を共有して、コミュニケーションを重ねていった結果、一つの音楽になっていくイメージなんですよね。もちろん、そこにリスペクトもあるんですけど、バンドは一つ屋根の下で続けていかなければならない。それってバンドじゃないとできないことだと思うんです。


ーーええ。


言ってしまえば、ジャズセッションは行きたい時に行けばいいし、会いたい時に会えばいいじゃないですか。それぞれの人生がある中で、互いに寄り道した時にグイッとその線が重なる感じ。でも、バンドはその線を重ねる作業なんです。それぞれの人生や暮らしがあるのに、人生の一部を共有していく。それって相当なことだし、何よりそんなに大変なことを続けたいと思えること自体、素敵だと思うんです。しかも、Khamai Leonを初めてから「辞めよう」とか、「キツイな」とかを思ったこともなくて。Khamai Leonとして重ねている1日1日が尊いし、バンドを続けている理由になっているんですよね。


ーー今おっしゃっていただいたことは、バンドの本質や尊さを体現しているお話だと思うのですが、赤瀬さんがKhamai Leonに人生を捧げられている理由を訊かせてください。


シンプルにみんなのことが好きなんです。音楽的な部分へのリスペクトもありますけれど、何よりどんな空気でもずっと繋がっていられるバランスが面白いなと。しかも、彼らは僕という人間を凄く理解してくれているんですよね。僕が何かを溜め込んでいたら、そこに気づいてくれるし、掬い上げようとしてくれる。とにかく絶大な信頼を置くに値する環境な訳ですよ。だから、それぞれの人生がどういう風になっていくのかを見届けたいし、バンドを通してみんなの人生がより良いものになったらと心から思っている。そのために、音楽に限らず、お互いがお互いに作用していけたらなと思うんです。例えば、僕ならそれはドラムだし、写真だし、アート・ディレクションだし。それぞれが「自分にしかできないことって何なのか」を考えた上で、Khamai Leonに還元していく。それができれば、Khamai Leonはもっととんでもないことになる気がしています。



取材・文=横堀つばさ

 
 
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