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強化された連帯感と肉体性。浦上想起と共に理想郷を近づけた一夜――『Khamai Leon 定期企画 vol.3 KONZERTO』ライブレポート


バンドらしさとは何だろう。冴えないヤツだろうともギターを持つことでスターに変身できる魔法のようなエネルギーか、はたまたどデカい音を数人でぶっ放す爽快感か。様々な要素はあれど、筋肉の微細な動きを、呼吸のわずかな乱れを、その日限りの身体の重さや体温を感じ取り、演奏に落とし込んでいくフィジカルが要求されることは疑いようもないはず。


2025年12月2日(火)、東京・渋谷Spotify O-nestで4人組の音楽集団・Khamai Leonが開催した『Khamai Leon 定期企画 vol.3 KONZERTO』。浦上想起・ソロ・セットをゲストアクトに迎えたこの日、彼らは身体的な気配を感じ取り合う有機的なロックバンドへと変化し続けている事実を刻みつけた。



1曲目にセレクトされた「Time flies like an arrow」から、その進化の兆しはありありと提示されたもの。鈴や河の音が遠方で響き始めると、ポツポツと鳴り出した楽器たちが霧を晴らすように雄大な風景を立ち上げていく。目の前に出現するその光景は、グランドキャニオンのごと峡谷であり、彩度の高い青空であり、するりと吹き抜ける風でざわめく丈の長い草木だろうか。まずここで驚くのは、構築した世界をステージ上でいっさい完結させず、客席まで敷衍していく情景喚起力だ。



トンネルを抜ける瞬間を喚起させるほどの眩さを湛えたゴツゴツとした米光椋(Ba.)のピッキングとbeja(Key.Gt)が劈くように轟かせるキーボード。決して後景化しない芯の太いファルセットとパッションが凝固したラップを使いこなす尾崎勇太(Vo.fl)の歌唱や、テンポと表情をコロコロ変えながらも一癖も二癖もある楽器隊をまとめあげる赤瀬楓雅(Drs.)のビート。近未来的なSEが充満する中、フルートの旋律がリスナーの呼吸を連れ去った「凪」や「ぶっ飛ばしていきます。最後までついてきてください」とプレイした「森」からも読み取れる通り、並行して走る音符たちの凸凹が明瞭になったことで、彼らは元来有していた手数と引き出しの多さを損なうことなく、オーディエンスを飲み込む舞台装置を出現させられるようになったのである。



しかし、考えてみるとKhamai Leonの描こうとしている世界そのものは、決して揺るがされているわけではない。民族的なフィールの強い旋律をエレクトロニックなアプローチで仕上げる「森」では、インタビューで「圧倒的に木々とコンクリートは別の存在で。真逆の存在なのに同じ文脈としても捉えることができる」「写し鏡でもあり、正反対でもあるという構築感が好きなんです」と語った通り、巡りめく生命とそうそう朽ちない鉄筋を対比させ、即興にも類するセッションから突入した「ほならね」では<天国 楽園は 遠くとも思いは 海を超えて 山を越えて 風となりて 街へ消えて>とあらゆる自然を超えて伝播していく思いの尊さを歌い上げてみせる。これらの作品に通底しているのは、風林火山や花鳥風月といった自らを取り囲む全てと溶け合いつつも、自己の境界線を引こうとする姿勢であり、その奮闘劇は「初期衝動」というワードにも換言される本能的な性質を備えたバンドシーンにおいて、クラシックや学問的な出自を持つメンバーがKhamai Leonとしてのオリジナリティーを確立せんともがいてきた様子とリンクしていると言えよう。



その肩書きやいくつもの楽器をスキルフルに使いこなす見た目の派手さに、これまでなかなか見えにくかったバンドの熱と泥臭さ。論理や理知では制御できない情動がアンサンブルの随所から溢れまくるようになったゆえに、4人が編み上げる楽曲世界はより身に染みるものとして手渡されるようになったのだ。そして、この変化の背後に横たわっているのは、「自分たちらしい音楽をやっていいんだ、と浦上さんの音楽に背中を押してもらいました」と口にしたことからも窺える、「何をやろうとも俺らは俺らなんだ」という開き直りにも似た、しかしかけがえのない確かな自信だろう。



2025年9月に開催した初ワンマンをはじめとする数々のライブで、EP『風の谷』以降より密接なコミュニケーションを交わすようになったという作曲スタイルで、培ってきた4人の連帯感。それは、天国と地獄を交錯させるような合奏と攻撃的なリリックを詰め込んだ新曲「Hallucination」にも、しずしずとリフレインされる清冽な3音が朝焼けを引っ張ってくる「潮鳴」にも、揺るぎない重量を付与していく。緑と白のライティングで4人の姿が切り取られる中、ハウリングから転がり込む「潮鳴」のクライマックス。スタジアムロックさながらの重厚感を誇ったその演奏は、静と動を縦横無尽に駆け回ることが可能になった彼らの現在地を指し示していた。



アンコールでは、遥か先まで残存する作品をそれぞれの筆使いで産み落とすことを誓い合うように「芸術と治療」でコラボを果たすと、ラストは「最後は踊って帰ろう!」と「Super EGO!!」を。<石みたいな意志 マイノリティ get a バカデカ景色が 遠く見える 遠く見える 俺は!!>という最終行は、強固な信念を抱き進軍するKhamai Leonのモット―そのもの。次なる挑戦の舞台となる東京・渋谷WWWでの2ndワンマンから、その先へ。2ndアルバム『IHATOV』で追求し、『風の谷』で建設しようとした理想郷は、少しずつ近づいている。


文・横堀つばさ

写真・pei the machinegun




【ライブ情報】


◾️live and paradox


公演名:live and paradox

日時 :2026年3月4日(水)

    open 18:00 / start 19:0

会場 :下北沢BASEMENTBAR

出演 :Khamai Leon("live" set)/ Khamai Leon("paradox" set)

料金 :¥3,800+1drink / U-22 ¥1,200 +1drink



◾️Khamai Leon 2nd ONE-MAN SHOW


公演名:Khamai Leon 2nd ONE-MAN SHOW

日時 :2025年9月23日(水・祝)

open 17:00 / start 18:00

会場 :渋谷WWW(〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町13-17 ライズビル地下)

料金 :一般 ¥4,500 +1D / U-22 ¥3,500+1D※要証明書

▼先行チケット(先着)販売期間

2025/12/2(火)21:00~2026/1/31(土)23:59

 
 
 

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